KORG TRITON RACKの分解掃除

2017/06/16

友人のミュージシャンから、もらい物のKORG TRITON RACKをいただきました。この音源で、億単位の音源を生み出してきた、非常にありがたい音源モジュールです。とにかく古い製品ですから、現在のようにUSBで、簡単に接続してなどと言うモノではありません。長期間使用していなかったようで、MIDI端子には、クモの巣~。フェーダーには、何かがかかったのか、動きが重い~。という訳で、使用する前に、分解清掃を試みることにいたしました。


まずは、前面パネルに接続されている、電気部品をとりあえず全て外します。結構古いプラスチック部品なので、力任せに外すと、経年変化で、カリッと割れてしまうこともありますので、若干愛情を持って、やさしく外さなければいけません。

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KOGR TRITON RACK(INSIDE)

上手に外せたら、ここからは、スパルタの作業です。長年使用してきた機材のパネルですから、一番の汚れは、「手あか」そして「タバコのヤニ」です。これは、擦って落とそうとすると、細かいボタン類が、取れてしまったりするので、思い切って家庭用の塩素系漂白剤を使用しちゃいます。

もともと、飲食店を経営していた経歴もあるので、洗剤に関しては、色々と調べたこともありますので、洗うことに関しては、経験豊富です。意外と驚きなチョイスかもしれませんが、もし、ご自身の機材で、ヤニまみれのモノがあれば、家庭用の塩素系漂白剤を使用することをお勧めいたします。何と同時に除菌までしてしまいます。

こうした製品を洗浄する上で、最も大切なことは、

  • 洗浄に時間をかけない
  • 薬剤を決して残してはいけない
  • しっかりと乾燥させてから、組みなおす
  • 基盤や電気部品は、水分厳禁!

この4点をしっかりと覚えておいてください。

洗浄に時間をかけないのは、今回の清掃でも注意しましたが、写真では分かりにくいですが、TRITONのボタン類は、背面から、なんとテープ止めされています!長時間お水をかけていたら、次々にボタンが、流れて行ってしまいます!!ご注意ください。意外と簡素な部分が多いので、驚きかもしれませんが、そんなモノです。


次に、薬剤を決して残してはいけません。今回使用する塩素系漂白剤ですが、かなり厳しい「ヤニ汚れ」であっても、かけて直ぐに指先で軽くなでれば、全て落とせるはずです。間違っても漬け置き洗いは駄目です。私も、今回一部ミスってしまいました。見るからにピカピカになっていますが、中央の「KORG」と「TRITON-Rack」の間の青文字の部分が、ニュルニュル~っと、流れてしまいました。意外と、メインの文字は強いのですが、サブの色つきの文字とかは、このように意外と弱いのです。

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現在の、製品なんかは、表示をレーザー加工していたりするので、意外と大胆に洗えますが、昔の機材は、しょぼいインクジェット100%ですから、気をつけてください。ちなみに、ボタン類は、全て原液に漬け込み漂白です。最も手あかが落ちにくいので、それが一番です。


洗った後は、十分に水洗いをして、薬剤を完全に落としましょう。残っていると、後々トラブルを起こします。そして、縁側の日当たりの良い場所で、洗濯用のネットに入れて一日放置します。ネットに入れるのは、細かなホコリが、入らないようにするためです。そうそう、水洗いの最後は、一瞬ですが、お湯で流します。水道のカルキを取り除くためです。しっかりと乾けば、あとは元の状態に組みなおせば、分解清掃の完了です。


元通りにする際は、ノブ類の電極部は、ティッシュグルグル巻きで、パーツクリーナをかけて、古いグリースと、磨り減ったカス汚れを洗いまして、シリコン系の接点グリースを綿棒で、やさしく塗ります。面倒くさいですが、これで、見た目にも綺麗で、動きのスムーズなノブも復活します。


 

そして最も厄介なのは、背面のメスの端子類です。これは、思い切って掃除機の力でゴミ等を吸い取ってください。そして、端子背面にティッシュグルグル巻きで、パーツクリーナー洗浄です。若干綿棒でも軽く拭く感じです。そしてノブ同様に、接点グリースを薄く塗りなおします。


 

こんな記事を書く予定ではなかったので、思い切り汚れた画像を撮るのを忘れましたが、この機材は、1990年の製品です。ほぼ四半世紀前の機材と思っていただければ、この写真に写っている機材の美しさが伝わるかと思います。

 

もちろん、これは頼まれてもやりたくない作業ですので、ご自身の判断で、行ってください。もちろん、洗浄ノウハウのご質問に関しては、無料で大丈夫です。

 

 

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